はじめに
「疲れやすい」「寝つきが悪い」「気分が揺れやすい」。40代以降に増えるこれらのサインは、ホルモンバランスの変化に生活リズムの乱れが重なってあらわれることがあります。特別なことを一気に始めるより、食事・運動・睡眠・メンタルの“日々の微調整”が、いちばん穏やかに効いてきます。本記事では、今日から無理なくできる体調管理のコツを、具体的にまとめました。
一般的なセルフケア情報です。更年期の症状や背景疾患には個人差があります。高血圧・糖尿病・甲状腺・骨粗しょう症などで治療中の方は、自己判断で生活習慣を大きく変える前に主治医へご相談ください。
体調管理の土台は「食・動・眠・心」の4本柱
食:材料(たんぱく質・ビタミン・ミネラル)を不足させない。
動:血流と代謝を維持し、睡眠の質も底上げ。
眠:夜に回復し、翌日のコンディションを決める要。
心:自律神経の切り替えを助け、体のこわばりを解く。
どれか1つの“完璧”より、4つを6〜7割で回す方が全体の体感は上がります。
・急激な食事変更は体調を崩すことがあります。少量から試し、体調に合わせて調整。
・持病や服薬(抗凝固薬/甲状腺/ホルモン関連等)がある方は相互作用に注意し、主治医へ。
・カフェインやハーブ類は体質差が大きいため、合わなければ中止。
食事—足りているかを整える
たんぱく質は毎食(目安:手のひら1枚分)。肉・魚・卵・大豆製品をローテーション。
発酵食品+食物繊維:味噌・納豆・ヨーグルトに、野菜・海藻・オートミールを合わせ腸内環境をサポート。
色の濃い野菜・果物:βカロテン、ビタミンCで酸化ストレス対策。
ミネラル:カルシウム(小魚・乳製品・大豆)、マグネシウム(海藻・ナッツ)、鉄(赤身肉・レバー・ひじき)を意識。
油の質:青魚・えごま・オリーブオイルなどを適量。
飲み物:水・白湯・ハーブティーで1.5〜2L/日を目安にこまめに。
控えたいもの:遅い時間の大量カフェイン・アルコール、極端な糖質/脂質過多。
小腹対策:ナッツ、プレーンヨーグルト、ゆで卵、味噌汁など“質の良い間食”に置き換え。
・胸痛/動悸/めまい/息切れがある日は中止。会話できる強度から始める。
・血圧や心拍数に薬を服用中の方は、急な高強度を避け、水分・室温に配慮。
・痛みが出る動きは避け、前日より少しだけ増やすペースで。
運動—“強く”より“続く”
- 朝の3分ルーティン:首・肩回し、胸を開くストレッチ、深呼吸。血流と姿勢を整える。
- 有酸素(週2〜3回):ウォーキング20〜30分。会話できる強度でOK。
- 軽い筋トレ(週2回):スクワット・ヒップリフト・腕立て壁ver. 各10回×2セット。
- 骨盤底筋ケア:座ってゆっくり引き上げて5秒、ゆるめて5秒×5回。
- NEAT(日常の非運動消費):エスカレーター→階段、こまめに立つ、家事で大きく動く。
目標は「毎日ちょっと」。筋肉痛で動けない強度より、続けられる軽さが勝ちです。
睡眠—就寝90分前からの準備
光:寝室は間接照明に、就寝1時間前からスマホの光を減らす。
温:ぬるめの入浴(40℃前後)を就寝90分前。寝る頃に体温が自然に下がり、眠気が来やすい。
音と香り:静かな音、短時間のアロマ(ラベンダーなど)。拡散は少量・短時間&換気。
寝室環境:室温18〜22℃、湿度40〜60%、枕は低めで呼吸しやすく。
昼寝:するなら15〜20分、16時前に。
眠りは“毎晩のルーティン”で質が整います。同じ順番・同じ時刻が合言葉。
心—自律神経をやさしく切り替える
- 呼吸法:4秒吸って、6秒吐く×5セット。吐く方を長く。
- マインドフル1分:五感(見える/聞こえる/触れている)をひとつずつ数える。
- ジャーナリング:寝る前に3行だけ「今日よかったこと」。
- 予定の保湿:趣味の時間、自然の中の散歩、友人との食事を先にスケジュールに入れる。
ストレスは“ゼロにする”より、逃がす出口をいくつも持つのが現実的です。
ホルモン変化と上手につき合う
波が読めるよう、気分・体温・睡眠・生理をメモアプリで簡単記録。
「この週は無理しない」「会議は午前に」など前倒し調整で自分を助ける。
受診の目安:生活に支障が出る不調が続く、強い落ち込みが長引く、出血異常など。医療機関で早めに相談を。
よくあるつまずきとリカバリ
完璧主義:3日坊主OK。翌日から再開がいちばんの特効薬。
やり過ぎ運動:強度を半分に、ストレッチ中心へ。痛みが出る前に戻す。
極端な食制限:まずたんぱく質と野菜を足す方向で。
サプリ頼り:土台(食・動・眠)が整ってこそ活きると理解して使う。
夜のスマホ:寝室の外で充電。物理的に遠ざけるのが最強。
1日の整えルーティン(例)
朝:常温水→カーテンを開ける→3分ストレッチ→たんぱく質+発酵の朝食→5分散歩。
昼:野菜+主食+たんぱく質の定食型→15分外を歩く→水分補給。
夕:温かい汁物で塩分・水分をバランスよく→入浴→保湿重ね→間接照明→呼吸法。
仕事中:45〜60分ごとに立つ、肩回し、白湯を一口。
“小さく整える”を一日じゅう散りばめておくと、夜に無理をしなくて済みます。
Q&A
Q:運動する気力がない日は?
A:立って背伸び30秒、肩回し10回、深呼吸5回でOK。ゼロにしないのが翌日の助走になります。
Q:食欲が止まりません。
A:たんぱく質と食物繊維を先に。汁物を足し、甘味は“食後に少量”へ。
Q:夜中に目が覚める。
A:時計を見ない、スマホを触らない。呼吸法1分→再入眠。昼間の光と活動量も翌夜へ効きます。
Q:汗がつらい。
A:吸湿速乾のインナー、ハンディ扇風機、電解質を含む飲み物を少量こまめに。
わたしの経験から
私自身、朝は白湯と首・肩回しでスイッチを入れ、日中は15分だけ外を歩くようにしています。食事は納豆や豆乳などの大豆製品を意識して取り入れ、夜は明かりを落としてラベンダーの短時間ディフューズと呼吸法で眠りの準備を。さらに、趣味に夢中になる時間や親しい友人とおいしい食事を楽しむ時間を先に予定に入れておくと、気分の波がやさしく整うと感じています。続けられている理由はただ一つ、がんばり過ぎない設計にしたから。うまくいかない日があっても、翌日にまた“少し整える”。その繰り返しで体調は静かに底上げされました。
本記事は医療行為ではありません。無理のない範囲で実践してください。
受診の目安:不正出血/胸痛・強い動悸/抑うつ・不眠が長期化/日常生活に支障が出るほてり・めまい などは自己判断で継続せず受診を。
まとめ
更年期の体調管理は、派手な変化ではなく日々の微調整の積み重ね。食・動・眠・心を6〜7割で回し、できない日は小さく整える。波をメモし、前倒しで自分を助け、必要なら医療にも頼る。今日の小さな一歩が、1か月後のあなたを軽くします。完璧より継続。無理より工夫。これが、ホルモン変化に負けない毎日の習慣です。