深く息を吸うと、胸の奥が静かに落ち着いていく。
神殿の薫香として古代から珍重された“神聖な香り”フランキンセンスは、リラックスはもちろん、瞑想やスキンケア、空間の浄化まで活躍する万能選手。
ただし、歴史や含有成分・使い方を正しく知ると、効果の感じ方も安全性もぐっと高まります。この記事は、初めての方にも経験者にも役立つ「本質」と「実践」を1本にまとめた保存版です。
▶︎ 「直接お湯に入れるのはNG?」など、安全な使い方の核心を3分で👇

- フランキンセンスの歴史と“神聖視”されてきた背景
- 香りの特徴と、心身・肌への主な働き
- 含有成分(主成分)と、精油と樹脂(エキス)の違い
- ディフューザー/スキンケア/瞑想など具体的な使い方
- 相性のよいブレンドと簡単レシピ
- 妊娠中・乳幼児・ペットへの注意点、正しい濃度と保管
1.フランキンセンスとは?—「神とつながる香り」の来歴
フランキンセンス(Frankincense)はボスウェリア属(Boswellia)の樹脂から得られる精油。
古代エジプトでは神殿の薫香やミイラ作り、軟膏に用いられ、聖書にも「黄金・乳香(フランキンセンス)・没薬(ミルラ)」として登場します。
中東・アフリカ・インドでは薬用・宗教用の双方で重要視され、“精神を鎮める香り”として瞑想や祈りに欠かせない存在でした。
美の象徴・クレオパトラが愛用したという伝承も残り、香粧・芳香療法の歴史に深く根付いています(伝承として語られます)。
主な種と産地
- B. carterii/B. sacra:ソマリア、オマーンなど(クラシックでバランスのよい香り)
- B. frereana:スパイシーで明るいトーン
- B. serrata:インド原産。アーユルヴェーダでも樹脂が用いられる
2.香りの特徴と主な効能
香りの印象
ウッディー+わずかな柑橘+樹脂の奥行き。神秘的で落ち着きがあり、好き嫌いが分かれにくい“品の良い香り”。
心への働き
- 深いリラクゼーション、不安・緊張の緩和
- 呼吸をゆっくり深め、瞑想・ヨガの没入をサポート
体への働き
- 呼吸器系のケアに伝統的に用いられてきた香り(乾いた咳・喉の違和感の緩和)
- 季節の変わり目のセルフケアに
美容(スキンケア)
- 乾燥・ハリ不足・小ジワの気になる肌に
- フェイス用は0.5〜1%、ボディは1〜2%の低濃度で(後述のレシピ参照)
3.含有成分のキモ(化学的な視点)
- 主成分はモノテルペン炭化水素:α-ピネン、リモネン、サビネン、ミルセンなど
- これらはリラックスや呼吸の快適さに寄与するとされ、香りの明暗を形づくります
- 重要ポイント:フランキンセンス樹脂でよく語られるボスウェリア酸(Boswellic acids)は精油にはほぼ含まれません。ボスウェリア酸は「重い分子」で、水蒸気蒸留で得る“精油”には移行しにくいためです
- ⇒ 精油(アロマオイル)と樹脂抽出物(レジノイドやエキス)は、化学組成も用途も異なると理解しておくのが安全
4.正しい使い方(実践レシピつき)
① ディフューザー
- 水あり:フランキンセンス2〜4滴を目安(6〜10畳)
- ヨガや就寝前:ラベンダー1+フランキンセンス2滴で“静けさのブレンド”
② スキンケア(希釈必須)
- フェイス:ホホバオイル10mL+フランキンセンス1〜2滴(0.5〜1%)
- ボディ:ホホバ20mL+フランキンセンス4滴(1%)
- 乾燥・ハリ不足に夜の保湿ケアとして。パッチテスト推奨
③ ロールオン(リラックス用)
- ホホバ10mL+フランキンセンス2滴+ベルガモットFCF1滴
- 手首・首筋に少量、深呼吸でオン
④ 瞑想・呼吸ケア(簡易吸入)
- マグカップの温かいお湯に1滴。立ちのぼる香りを目を閉じてゆっくり吸う
- 長時間の連続使用は避け、30〜60分で換気を
入浴で使う場合は乳化剤やバスオイルを併用(“直接お湯に”は肌刺激の原因)
▶︎ 使い切れない…を解消。油汚れに強い柑橘+重曹の裏ワザも👇

5.ブレンド相性 & シーン別提案
- 瞑想・夜の静けさ:フランキンセンス×シダーウッド×ラベンダー
- 前向きになりたい:フランキンセンス×ベルガモット×ゼラニウム
- 空間の浄化感:フランキンセンス×サイプレス×レモン
6.品質の見分け方とサステナビリティ
- 学名・抽出部位・抽出法・原産国の表記が明確なもの(例:Boswellia carterii, resin, steam distillation, Somalia)
- 産地事情により樹木の過剰採取が問題になることも。フェアトレード/サステナブル調達を掲げるブランドを選ぶと◎
- 未開封・冷暗所で2〜3年、開封後は1年を目安に早めに使い切る
7.禁忌・注意(とくに大切)
- 妊娠初期は使用を避ける(中期以降は低濃度で専門家に相談を)
- 乳幼児への使用は避けるか、医療者・専門家の指導下で
- ペット(特に猫)は代謝経路が人と異なり、精油全般がリスク。同室拡散を避け、換気・隔離・残香にも配慮を
- 皮膚塗布は低濃度&パッチテスト、長時間の連続芳香は換気をルールに
8.よくある質問(簡潔版)
Q. 樹脂と精油、どっちが効く?
A. 目的次第。精油は“香りによるケア”向き。ボスウェリア酸を狙う用途は樹脂抽出物(エキスなど)側です。
Q. 香りが強く感じる時は?
A. 滴数を半分に、またはラベンダーやシダーウッドで柔らげるのがおすすめ。
▶︎ 香りと品質を守る5つの鉄則。開封後のベストプラクティスも👇

まとめ
フランキンセンスは、歴史・化学・使い方の3点を押さえると、香りの深さと安全性が一段と高まります。
神聖さを感じる静かな香りは、忙しい毎日の“呼吸の質”をふっと整え、スキンケアではやさしいエイジングケアにも。正しい濃度・環境・品質で、あなたの日常に「余白の静けさ」を増やしてみてください。
おすすめの関連記事
▶︎ フランキンセンス精油を含め、「精油=天然=安全」とは限りません。特に猫との暮らしには注意が必要。猫に有害な精油リストと、安全にアロマを楽しむポイントを解説しています👇

▶︎ 開封から時間が経ったフランキンセンス精油、「もう使えない?」と悩んだらこちら。掃除や消臭など、肌以外で安心して使い切るアイデアを紹介しています👇

▶︎ フランキンセンスをせっかく買ったなら、最後まで新鮮に使いたいですよね。光や酸化から守る保存のコツやNG習慣をまとめました👇
